肝・胆・膵内科について

肝・胆・膵内科とは

兵庫医科大学の消化器内科学講座のうち、肝臓・胆のう・膵臓疾患の診断と治療を中心に行っている部門(診療科)です。主な診療内容は下記の通りです。詳細は対象疾患と診療内容病院ホームページの診療内容を御覧下さい。

肝疾患

  1. C型肝炎・肝硬変、B型肝炎・肝硬変
    (抗ウイルス薬など)
  2. 脂肪肝炎(NASH)・肝硬変、アルコール性肝炎・肝硬変
  3. 自己免疫性肝炎・原発性胆汁性胆管炎
  4. 薬物性肝障害
  5. 肝硬変
    (腹水治療・サルコペニア予防・肝線維化診断など)
  6. 食道胃静脈瘤の治療
    (内視鏡的食道静脈瘤硬化療法EIS・結紮術EVL)
  7. 良性肝腫瘍・肝癌・転移性肝癌・胆管細胞癌の診断と治療(ラジオ波焼灼療法・マイクロ波焼灼療法など)

胆膵疾患

  1. 総胆管結石
  2. 胆石胆嚢炎
  3. 急性膵炎・慢性膵炎・自己免疫性膵炎
  4. 膵癌
  5. 膵管内乳頭状粘液腫瘍
  6. 胆囊癌・胆管癌
  7. 十二指腸乳頭腫瘍

肝・胆・膵内科の役割

大学病院では診療・教育・研究が3つの柱です。当科は消化器内科全般の診療を行っていますが、特に肝臓・胆のう・膵臓疾患について治療困難例なども含めた専門的な診療を行っています。特に肝疾患に関しては、兵庫県肝疾患診療連携拠点病院としての重責を担い、最先端の肝炎や肝硬変、肝癌の診断および治療を実践しています。教育については、学生や初期・後期研修医が専門的な知識や技術を身につけるための教育機関としての役割を担っています。また研究については肝臓・胆のう・膵臓疾患全般にわたり、臨床研究を中心に積極的に取り組んでいます。

  1. 肝・胆・膵疾患の病態、診断並びに治療に関する研究
    肝疾患全般に関する臨床・基礎研究を行い、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)や厚生労働省の班会議研究に参加し、最先端治療である臨床試験にも取組み、治療成績の向上を目指しています。
  2. 肝疾患・肝癌の画像診断と治療に関する研究
    超音波センターと共同で非侵襲的肝硬度測定の研究や開発に携わり、肝癌に対する内科的局所治療の改良と分子標的薬治療の成績の向上を目指しています。
  3. 肝疾患の栄養療法に関する研究
    症例ごとの栄養評価と科学的データに基づいた治療法の選択により、非代償性肝硬変の予後延長と生活の質(QOL)の改善を図る研究を行っています。さらに、食道静脈瘤治療に際して有効な栄養療法などの研究を行っています。
  4. 胆膵系疾患の診断と治療に関する研究

上記に加え超音波内視鏡を用いた悪性腫瘍に対する内視鏡的診断の向上や、組織サンプルを用いた遺伝子解析、血液検体による診断法の開発を目指した研究なども行っています。 研究に関する詳細は大学ホームページを御覧下さい

診療方針(ポリシー)

肝・胆・膵疾患の全領域において質の高い医療を行っています

肝疾患領域では肝疾患連携拠点病院として、肝疾患全般に対し最先端の治療を行っています。B型あるいはC型肝炎に対する抗ウイルス治療以外に、肝硬変症例には栄養療法や運動療法の視点からのアプローチも積極的に取り入れ、肝癌に対しては外科・放射線科と共同して多くの治療選択肢の中から最適の治療を行うことで、長期生存に繋げています。そして肝硬変の合併症である食道静脈瘤はもとより、近年増加が著しい胆・膵疾患領域でも、処置困難例の受け入を含めて高度な内視鏡治療を行っています。

兵庫医科大学病院 肝・胆・膵内科の特徴

  1. 当院は多くの学会から指導施設として認定を受けており、当科では日本内科学会、日本消化器病学会、日本肝臓学会、日本消化器内視鏡学会、日本超音波医学会などの評議員・指導医・専門医を多数擁しています。そのため特に治療困難例などは、複数の専門医が協力して問題解決に当たります。
  2. C型慢性肝炎については、内服薬(DAA)のみによる最新の治療により副作用なくほぼ全例でウイルス排除が期待できる時代となりました。一方で肝硬変の進行や発癌抑制を目的とした抗ウイルス治療も積極的に行っています。B 型慢性肝炎については、核酸アナログ製剤での加療や、その中止を目指したインターフェロン治療を積極的に行っています。
  3. 肝硬変に対しては、間接カロリーメーターなどの科学的データに基づいた栄養指導と治療を行い、非代償期の腹水や黄疸、肝性脳症などの合併症を予防し、予後延長とQOL 改善を図っています。また食道・胃静脈瘤に関しては、予防的な内視鏡治療やカテーテル治療(バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術:B-RTOなど)により消化管出血を防止しています。
  4. 肝癌に対しては、造影超音波や造影CT・MRI など最新の画像診断法を用いて早期発見を目指しています。治療は、外科・放射線科と連携をとりながら、切除術、ラジオ波焼灼療法、肝動脈塞栓療法、分子標的薬治療を選択しています。
  5. 内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)や、超音波内視鏡(EUS)とその技術を用いた穿刺吸引法(EUS-FNA)などにより胆膵領域の精密診断を行っています。治療に関しては、急性胆のう炎や胆管炎に対するドレナージ術、総胆管結石に対する内視鏡治療のほか、進行癌に対する内視鏡的あるいは経皮的ステント留置術等も行い、最善の治療を目指しています。